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コラム

自ら考え行動し力を蓄えることで、生き残りの活路が拓ける

2013-09-01

厳しい厳しいといわれて久しい医療業界で、薬局・薬剤師がどうやって将来のビジョンを描き、未来へ道をつなぐのか。一般社団法人保険薬局経営者連合会会長の山村真一先生に、その方法やアイデアをアドバイスしていただいた。

いま水面下で大きなうねりが起きています。皆さまの勇気で、それを変えていただきたいというムードも出てきているようです。今日の私の話を聞いて、何かを感じ、できたら何か行動に移していただきたいと思います。

最近、保険薬局バッシングとか、保険薬局の生き残りとかが話題になっていますが、どれだけの薬剤師が自らの将来ビジョンを描けているのでしょうか。意外とむずかしい、と私自身も感じています。目の前の現状では、在宅とか、フィジカルアセスメントとか、バイタルチェックとか、そこら辺にヒントがあるようですが、そこは通過点にすぎません。その向こうに何が待っているのか、ただ受け身で待っているのではなく、歩まざるを得ない未来に向けて行くべき道があることに早く気がつき、早く行動すること。それにより、社会に貢献していくことが求められているのではないでしょうか。その答えを見つける私なりのヒントを本日のセミナーでいくつかご紹介したいと思います。

ともに活動することで中小薬局にも力を

まず医薬分業についてですが、これにはさまざまな議論があります。医師が処方した薬を薬剤師がチェックして患者さまに出す。これまではこのコンビネーションが医薬分業のメリットとして認められてきました。加えて薬歴管理というのが薬局の重要ミッションでもあったのです。ところが、スマホをはじめ、さまざまなメディアが発達した現在、一般の人でも自分のデータを自分で管理することが可能になり、薬局はそれをサポートしていく、という立ち位置に自らの居場所を定めなければならなくなってきました。

医薬分業といっても、患者サイドからすれば病院または診療所と薬局に出向くという二度手間で、診療報酬上の都合でかえって患者負担は高くなるような不都合な面のある制度だともいえます。それでも、患者さまが薬は薬局でもらいたい、薬局でもらうんだと思うようになるためには何が必要で、どういう仕事をしていけばいいのでしょうか。それが私たちの課題の一つになります。

『ファーマシーニュースブレイク』というネット上の薬局向け新聞で、日本薬剤師会副会長の三浦洋嗣さんが、疑義照会という武器を使って議論を戦っていました。でも、私に言わせれば、それは本土決戦のようなもの。処方箋をチェックして、医師に疑義照会するという薬剤師の最大、最高のミッションを当たり前のようにこなし、これからも続けていくわけですけれども、それをアピールしてしまったらもうほかに武器はありません。まさに、活路を見いだせないまま、暗中模索しているようです。

そんな状況の対策として、何をまずすべきか。いままでやってきたことを一生懸命にやればいい?
いえ、いままでだって一生懸命に仕事をしてきたのは事実なのですから、それでは問題解決にはなりません。いままでやってきたことは当然として、よりパワーアップしていくためにもまずはアタマの切り替えが必要でしょう。その上で情報収集に努めるなどの行動が求められます。しかも、個店ではいろいろな面でできることに限りもあるので、大きな成果は見込めません。そこで、そういう状況下におかれた中小薬局同士が連携して、経営の効率化とともに地域での存在価値を高めていくようなアクションを一緒に起こしましょう、と呼びかけてつくったのが、私が会長を務める保険薬局経営者連合会です。

その活動の一環として、昨年、すでに一つの問題提起をしました。調剤技術料の簡素化の提案です。厚労省が出しているデータからもわかるとおり、各県の処方箋単価と技術料の値は、ほぼ横並びなのです。全国平均の処方箋1枚単価8357円、技術料2123円。一番高い石川県は処方箋10793円、技術料2318円。一番安い佐賀県でも処方箋6980円、技術料2066円。

いまや薬剤師でも電卓一つで計算できないくらい複雑化された処方箋。その数字が見事に揃っている事実。そこに違和感を覚えたからこそ、発想を切り替えて、調剤技術料簡素化という考え方に私たち自身が踏み込んでいくということにしたわけです。これには正解もないし、時間と手間のかかる非常にむずかしい問題であることも十分理解しています。私たちの未来は処方箋とは別のところにある可能性も含め、これからみんなで議論しながら、国に提案していくテーマとして取り組んでいきたいと思っています。

薬剤師の道は自ら切り拓いて

高薬のネット販売解禁を機に、近未来の状況を示唆するキーワードとして「かかりつけネット薬局」という言葉を耳にするにつけても、時代の変化のスピードを感じます。ホントに一所にとどまっていてはいけない。私たちが抱く問題の答えは国民のほうにあるので、反対だなどと言っているだけではなくて、国民がどう思うか、どう受け入れていくか、実直に見極めることが必要だといえます。

 ただ、薬剤師はどこまでも薬の供給には関わっていく必要があるので、ネット薬局の時代になっても薬局で調剤を担当するのは薬剤師であるべきです。だから、薬剤師の仕事というのは必要数は減っていくかもしれませんが、消えていくことはないはずです。むしろ、一番の危機にさらされるのは実店舗薬局で、ますます厳しくなっていく将来が容易に想像できます。

消えていくといえば、地方によっては小児医療が崩壊していて、小児科がどんどんなくなっているという話題を耳にしたこともあると思います。兵庫県丹波市の柏原病院でも、小児科を診療科からはずすと決断し、事前告知をしました。すると、この小児科にかかっていた子どもの患者のお母さんたちが立ち上がり、小児科が存続するように市民運動を始めたのです。

お母さんたちによる市民への呼びかけは、コンビニ受診を控えよう、かかりつけ医を持って病院に行かないようにしよう、お医者さんに感謝の気持ちを伝えよう、といった本来ならごく当たり前の内容でした。さらに、医師とやりとりを重ね、発熱のときにはどうするかといった細かい指導を盛り込んだパンフレットを作成。とにかくまずは自分たちで対処することを訴えたのです。そうした熱心な運動が実を結び、柏原病院の小児科は存続するという結末を迎えることができました。

ただ、私が一つ残念に思ったのは、市民に配られたパンフレットなどに、「まず薬局に相談しましょう」という内容がなかったこと。本来、そこがキーですよね。ちょっとした発熱なら病院に行く前に薬局に相談してもらえるといいんです。このお母さんたちの運動に望ましい薬局への誘導はなくても、これから社会保障費を適正にして、医療を健全にしていくという視点からはとても大事な動きだったのは事実です。医師はともかく、患者さま、国はよろこび、何よりも、ここに私たちの新しい価値も生まれてくるように思います。つまり、処方箋依存ではない体質に自ら変わっていくチャンスがあるのではないでしょうか。

この小児科の例に学ぶべきところは、他力本願にならず、自分の道は自分で切り拓いていくこと、自分が行動して状況を変えていくこと。そのとき市民を味方につければ何も恐くないというのが私の持論です。

お薬のライフガード 薬剤師が担う新しい役割

皆さんは昨年『調剤指針』が改訂されているのをご存じですね。いままでは適正に薬を渡すということまでしか書かれていなかったのですが、今回の改訂で、その後の経過観察や結果を確認するということが加えられていて、薬を出したあとの確認をするところまでが調剤である、という考え方が示されたわけです。

実は、ここがとても大事なポイントで、私たちの活路につながるのではないかと思っています。国民を有害事象から守り、薬を出したあともちゃんと見守っています、というアピールをすることが大事ではないのかと考えています。つまり、私たちにとって、疑義照会以外の新しい武器になるのではないでしょうか。

言い換えると、私たち薬剤師は「お薬のライフガード」ということですね。海やプールのライフガードは事故がないか常に監視を怠らず、もし事故が発生したら迅速かつ適切な対応で救助する。お薬のライフガードも、市民の皆さんを静かに見守り、健康被害がないかどうかチェックし、問題があればできる範囲で対処します。これを基本に、今後は、市民の皆さんのお薬ライフガードとして機能する薬剤師という切り口でわかりやすく広報していくことを計画しています。

 薬剤師の仕事というのは、いままでの戦略を見直した結果、有害事象から患者さまを守る必要不可欠な社会インフラといえるのです。その点をアピールしていくことで、薬剤師、薬局の活路が拓けると確信を持っています。そのために必要なのが、有害事象察知能力、情報収集能力、フィジカルアセスメント力。加えて情報提供力も欠かせません。こうして必要な力を蓄えていけば、国民の皆さまからインフラとしての存在を認められる日も近いでしょう。

具体的なインフラ機能の一つとして、薬経連では、有害事象報告アプリを開発しました。その名も「プレーリードッグ」。非常に臆病で、危機に敏感なプレーリードッグという動物からつけた名前です。薬剤師が接した患者さんからの有害事象報告をスマホなどを使ってあげていくという仕組みで、現在は、iPhoneのみですが、ゆくゆくはアンドロイドやパソコンにも展開していく予定です。

健康被害から国民を守ること。実はこれこそが医薬分業の本質になるのではないかと考えています。私たちは直接患者さまに薬を渡す重要な立場にあって、いわば薬物治療の最終ゲートキーパー(門番)であります。だから、当然、その責任を負います。ところが、OTCのような薬を患者さまが買うような場合、それはあくまで自己責任なのです。そこで、私たち薬剤師がそのサポートをかって出るという方法が浮上します。むしろ、薬剤師のサポートを得て薬を手に入れることがどんな薬でも服用の安心につながるはずです。その点も今後のアピールポイントとなるでしょう。

私たちの具体的な行動の積み重ねにより、医薬分業の本質を示したいと考えました。そこで、私たちは意見書提出という形で行動に出ました。医療分野が経済成長に寄与できる側面を明確に示したのです。一つは、元気に働ける国民を増やすこと。もう一つは、医薬品や医療機器を国外に輸出することで外貨獲得に資すること。この二点を明らかにしました。OTCのインターネット販売を解禁してもせいぜい6500億円産業。しかも横ばいビジネスで経済に貢献する見込みが低いという理由から、それを重視する意味はないと判断しました。しかも、インターネット販売による高リスクを危惧するなら、OTCは医科向けに戻したらどうかというのが、私たちの主張です。

今後も、幅広い視野からの提案を重ねて、議論を誘発し、問題を正しい方向に導くというのも私たちの仕事だと自負しています。そのために新しいシンクタンクの設立やフォーラム活動なども計画しています。国民にとって、さらに国にとって必要な提案を続けていきます。皆さんも、こうした私たちの活動を興味を持って見守っていただくとともに、まだまだマンパワーが足りないので、ぜひご協力をお願いしたいと思います。

(※この記事は、2013年7月13日に開かれた「第5回 薬剤師力向上セミナー」(弊社主催)の内容をもとに構成したものです。)

山村 真一(やまむら しんいち)氏
一般社団法人保険薬局経営者連合会会長。薬剤師。1979年、昭和大学薬学部卒業。1980年、プライマリーファーマシー開局。2005年、バンビーノ薬局を開局。安全で高品質な医療を低コストで提供できるようにという理念のもと、2011年、中小の薬局経営者を中心とした、一般社団法人保険薬局経営者連合会を設立。現在はその会長としてさまざまな活動に従事している。このほか、日本アプライド・セラピューティクス学会監事、日本ジェネリック医薬品学会評議員、日本薬剤師会薬局薬剤師部会幹事なども務めている。

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